2008'04.20.Sun
ゴールデンデイズ(仁⇒光也)
銃弾の音。爆撃の轟き。泣き叫び同胞を抱き寄せるもの。
1942年、第二次世界大戦の真っ只中の北アフリカ。
大正10年から何年経ったろうか。
光也が僕の側から消えてから。
一体どのくらいの時間が経ったと言うのか。
光也が生まれてくるまで後何年あるのだろうか。
「平成」の年号までどのくらいの時間を経れば光也に会えるというのだろうか。
でもきっと、もう叶わない。
どんなに老いぼれたとしてもお前に会えるというのならそれでも良いか、なんて思いもしたけれど。
ほら、もう僕の周りには同胞の亡骸がそこらじゅうに広がっている。
手足がもげたもの。首の無いもの。身体すら生前の原形をとどめていない肉塊。
ほら自分も。もう下半身がない。
微かに動く手を酷使してポケットに入ったチェスの駒を取り出した。
「黒のナイト」
最後に光也がくれたもの。
「お守り」だと彼はそう言って笑いながら消えていった。
僕が不幸であることを許さないといってくれた最愛の親友。
だから僕はこの「黒のナイト」にかけて幸福のために戦った。
ああ、大丈夫。
世界はあまりにも変わってしまったけれど。
終焉の鐘の音が響いたとしても。
僕は確かに幸福だった。
お前とのあの僅かな時間を共に過ごせたこの記憶こそが僕にとっての幸福の証。
この記憶がある限り何が起ころうとも僕は幸福で有り続けるんだ。
ああ、だから今度はお前が幸せであるために。
最後の力をかけてお前が生まれてくるこの世界を守ろうではないか。
もう一度会える日を願って。
世界の終焉
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